16 Mar 2017
さまざまな様式の展開
アメリカ各地で、豊かになって来た人たちが、ジョージアン、フェデラル、グリーク・リバイバル、ゴシック・リバイバル、ヴィクトリアンなどさまざまな様式の住宅を展開し、やがて19世紀末には、次の時代の幕開けとなるスティックスタイルやシングルスタイルが登場した。
玄関キャノピーと窓
入植してから時が経ち、建築様式を意識した住宅が増え、玄関前のキャノピーと窓まわりは様式の表現手段となっていった。
階段・列柱廊から玄関へのドラマ
移民してきて2代目、3代目の成功した人たちは、より壮麗な家を建てるようになり、ヨーロッパ的様式建築の住宅版がドリームの証となった。馬車で到着し、階段を上がり、列柱に迎えられ、玄関に至るドラマは、映画『風と共に去りぬ』さながらであった。
展望デッキ
家の上部から周囲を展望するため、上階にベランダを設けたり、屋根の上に登れるようにすることが多い。電話や無線のなかった時代、入港する船や幌馬車の土煙を早く見つけることは大切であった。その名残が、住宅に残っているともいえよう。
塔の窓からの眺め
自分の農場を塔の上から眺めて管理するという用途もあったが、来客を塔の上に導いて自慢の農場を見せるという場でもあった。
八角形の美
19世紀後半、八角形プランは採光に適しているということで健康住宅として流行した。ロマンティックリバイバルの華やかな装飾とともに、アメリカンドリームの象徴でもあったが、短期間の流行で終わった。
イタリアネートスタイルのベランダ
スティックスタイル、シングルスタイルの窓
19世紀末にかけて、木造の表現がいくつか現れた。スティックスタイルは構造部材とは別に骨組みを表現するタイプで、シングルスタイルは骨組みをシングル (割板) で覆ってしまう表現であった。
バードハウスの窓
家の形をしたバードハウスがあり、ほとんどその家の模型といえるようなのもある。小鳥の出入りには小さな穴がちょうど適しているので、家の窓が出入り口となっている。
八木幸二/Koji Yagi
建築家。1944年愛知県一宮市生まれ。1969年東京工業大学建築学科卒業、同大助手。OTCA専門家派遣 (シリア田園都市省) 、クインズランド大学研究員、オクラホマ大学客員助教授、MIT 客員研究員、東京工業大学教授を経て、現在京都女子大学教授。