WINDOW RESEARCH INSTITUTE

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CCA-WRI Research Fellowship Program 2022-2024 Above/Below/Between: Light on a Damaged Planet

Mediating Light:
The Architectures of Photographic Production
光を媒介する建築――写真の生成をめぐって

エミリー・ドーセット

31 Mar 2025

本プロジェクト「Mediating Light: The Architectures of Photographic Production」は、写真材料の分野で世界的な影響力を持つイーストマン・コダックの建築とインフラに焦点を当てるものである。カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリアに所蔵されるコダック関連資料(Kodak fonds)に基づくアーカイブ調査を通じて、写真材料工場の設計を検討する。

建築およびインフラの類型に沿って構成される本プロジェクトは、素材、化学薬品、労働力、通信システム、輸送インフラ、法制度、貿易政策といった要素の連関を明らかにし、コダックの商業的成功と、その製品が世界中で広く利用されるに至った条件を捉える。

これまで、写真と建築の関係は、主に写真家が建築や都市環境をどのように記録してきたかという観点から論じられてきた。すなわち、建物や都市を対象とした写真である。しかし一方で、写真のための建築もまた存在する。写真材料企業は、感光性フィルムや印画紙を製造する工場、現像に用いる化学薬品を精製する施設、プロ・アマチュアを問わず撮影されたフィルムやプリントを処理する施設、さらには企業の利益によって支えられた大規模な本社ビルを建設してきた。

設計図、ランドスケープ・デザイン、建築許可証などの一次資料を通じて、写真の歴史、ひいては「写真的資本主義」の歴史を読み解くことで、本プロジェクトは写真産業の地政学的展開を検討する。また、メディア産業がもたらす環境影響に関する近年の研究を踏まえ、写真産業を支える建築とインフラの環境的側面についても検討を加える。

『Energy Always: 2024 CCA-WRI Research Symposium』(2024年8月7日、モントリオール)記録映像より

エミリー・ドーセット/Emily Ducet

ティオティアケ/モントリオールを拠点に、作家、編集者、写真およびヴィジュアル文化の歴史研究者として活動。2020年にトロント大学で美術史の博士号を取得後、ドイツ・エッセン高等研究所(2021年)、マギル大学アート・ヒストリー&コミュニケーション・スタディーズ学部(2022–23年)、トロント・メトロポリタン大学イメージ・センターでフェローとして研究を行う。2024年には、CCA–WRIフェローとしてカナダ建築センターに滞在。

メディア技術の歴史と視覚文化、とりわけ写真を主題に研究と執筆を展開。初の著書『Inventing Nadar: A History of Photographic Firsts(ナダールを生み出す——写真における原初の歴史)』は、2026年にデューク大学出版局より刊行予定。歴史的および現代文化を扱ったエッセイ、インタビュー、レビューは、BlackFlash、Border Crossings、C Magazine、Canadian Art、Communication + 1、Grey Room、Lady Science、Public Parking、Transbordeur: photographie, histoire, société などに掲載されている。

主な研究助成として、アソシエーション・フォー・アート・ヒストリー、カナダ建築センター、大英図書館エクルズ・アメリカ研究センター、ドイツ・エッセン高等研究所、ノースロップ・フライ・センター、ポール・メロン英国美術史センター、カナダ社会・人文科学研究会議(SSHRC)、トロント・メトロポリタン大学イメージ・センターなどからの支援を受けている。

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