WINDOW RESEARCH INSTITUTE

JP | EN

CCA-WRI Research Fellowship Program 2022-2024 Above/Below/Between: Light on a Damaged Planet

All of the Above: A Global Future of Energy
すべてを選ぶ、エネルギーの未来

ギョクチェ・ギュネル

31 Mar 2025

本プロジェクトは、グローバルなエネルギー産業の関係者が提示する「すべてを選ぶ(all of the above)」という解決策を手がかりに、エネルギーの未来がどのように捉えられているのかを検討する。この検討は、同テーマを扱う出版企画の一部として進められている。ここでいう「すべてを選ぶ」とは、他のエネルギーインフラと並行して化石燃料インフラの必要性も維持することで、エネルギーの公正を確保しようとする構想を指す。同書では、ガーナにおけるカルパワー社の浮体式発電所に加え、太陽光発電所や電気自動車(EV)の事例を取り上げ、このアプローチがグローバル・サウスにおいてどのように現れているのかを検討する。こうした複合的な解決策の実態を示すことで、エネルギーインフラを「進歩」や「移行」といった直線的な時間軸で捉える従来の見方に対し、批判的な視点を提示する。

CCA–WRIが掲げる「間にある条件(between conditions)」というテーマに応えるかたちで、本プロジェクトでは、発電船のような一時的な電力インフラが、導入地域における長期的な発展や直線的進歩の可能性を前提としつつ、どのように資本として機能してきたのかを検討する。これらの設備は、将来的に撤去され、脱化石燃料時代への移行を支える暫定的措置として位置づけられてきた。また、その形態も未来への移行を示すものとして説明されてきた。しかし実際には、関連する契約は国の送電網との長期的な接続を前提としており、暫定的とされる期間を延ばし、クリーン技術への移行を先送りする効果をもっている。発電企業は、この中間的な状態を維持するために経済的・政治的に関与を深め、導入国の資源に依存しながら、自らの技術が不要となる時期の到来を遅らせている。こうした点から、一時的な電力設備は「引き延ばしの技術(technology of deferral)」として機能していると位置づけられる。

本プロジェクトは、このような「一時的」な装置が、なぜ進歩を遅らせる技術として作用するに至ったのかを問い直すとともに、その拡散がエネルギーおよび気候変動のグローバルな将来にどのような意味をもつのかを検討する。

『Energy Always: 2024 CCA-WRI Research Symposium』(2024年8月7日、モントリオール)記録映像より

ギョクチェ・ギュネル/Gökçe Günel

ライス大学文化人類学准教授。エネルギーや気候変動に関連する課題のもとで、インフラがいかに変容するかを主な研究対象としている。著書に『Spaceship in the Desert: Energy, Climate Change and Urban Design in Abu Dhabi』(Duke University Press, 2019)があり、アラブ首長国連邦における再生可能エネルギーおよびクリーンテクノロジーのインフラ整備、とりわけマスダール・シティ計画に焦点を当てている。まもなく刊行予定の民族誌的モノグラフ『All of the Above: A Global Future of Energy』では、ガーナに導入されたトルコ製の浮体式発電所を事例に、エネルギー移行に関する語りの構造を分析している。共著に「A Manifesto for Patchwork Ethnography」(2020)があり、「パッチワーク型民族誌」研究の共同主宰者を務める。

RELATED ARTICLES

NEW ARTICLES