CCA-WRI Research Fellowship Program 2022-2024 Above/Below/Between: Light on a Damaged Planet
Earth-Shelter Builders and the Code
アース・シェルターの実践者たちと建築規範
31 Mar 2025
「Earth-shelters Builders and the Code」は、2023年に開始された、地表と住まいの関係をめぐる歴史的・理論的調査の一環として位置づけられる。本調査はとくに、1970年代初頭に北米を襲ったオイルショックを契機に広がった地下建築の動向に焦点を当てる。ここで「地」は、建物を支える単なる地盤ではなく、建築に組み込まれる有機的な素材として捉え直されている。これにより、建物外皮の断熱性能が高まり、エネルギー消費の削減が可能になると考えられた。地下に建築を埋め込むという発想は、自給的な生活と環境意識を結びつける戦略として、カウンターカルチャーの文脈に根ざし、アマチュアによる試行を原動力として展開した。
アースシェルター運動の主要な担い手たちは、2007年11月から2008年4月にかけてカナダ建築センター(CCA)で開催された展覧会「Sorry, Out of Gas: Architecture’s Response to the 1973 Oil Crisis」によって広く紹介された。同展は、ジョヴァンナ・ボラージとミルコ・ザルディーニのキュレーションによるもので、精緻な文献調査と関係者への聞き取りを通じて、1970年代初頭を中心とする多様な試みを整理し、運動の全体像の提示に寄与している。この初期段階における重要な人物として挙げられるのが、環境建築および地下建築の分野で知られる建築家でありベストセラー作家でもあるマルコム・ウェルズである。ウェルズは、2023年9月17日から2024年1月20日にかけてニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された展覧会「Emerging Ecologies: Architecture and the Rise of Environmentalism」でも取り上げられている。CCA Fundによって収集されたウェルズの著作全集およびペンシルベニア大学に所蔵される個人アーカイブを基に、筆者とレオニー・ブンテは2023年7月にケープコッドで遺族へのインタビューを実施した。
ウェルズが理論的・思想的基盤を築いたのに対し、アースシェルターの最初の体系的・科学的整理は、1977年にミネソタ大学でレイモンド・スターリングとジョン・カーモディによって設立されたUnderground Space Center(USC)によって進められた。現在CCA Fundに収蔵されているUSCのアーカイブからは、1995年の閉鎖までに同研究グループが展開した幅広い活動が確認できる。当初は住宅を対象とした地下建築に焦点が当てられていたが、1980年代には商業および業務用途の大規模地下建築へと関心が移行した。この傾向は、1978年にUSCが開始した地下建築・地下工学に関する年次国際会議の発表内容からも確認される。
USCの主な成果の一つは、地下建築の構成要素の可能性を検討し、自然光を取り込む新たな装置を統合した点にある。この考えは、建築家デイヴィッド・ベネットとの協働によるミネソタ大学土木工学棟において具体化されている。基礎から外皮上部に至るまで、アースシェルター建築の先駆者たちは従来の設計を見直し、持続可能性の原則を取り入れた独自の解決に到達した。この観点からみると、アースシェルター運動は、エネルギー効率を含む持続可能性を重視しつつ、地下環境に適応した生活様式と建築技術の再編を試みた、戦後における初期の包括的な取り組みの一つと位置づけられる。
このような構成要素の再編において中心となるのは、地盤の質量と、光や空気を取り込む表面との関係である。前者は建築を地形に結びつけ、周囲環境との調和をもたらすのに対し、後者は内部と外部を接続するインターフェースとして機能する。とりわけ窓は、地中に埋め込まれた建築において光を導く要素であり、さまざまな思想が交差する場となると同時に、しばしば建築規制との衝突を引き起こす。
以上の理由から、本プロジェクトでは窓をアースシェルター建築の中核的要素として位置づけ、生活文化と建築形態の相互関係を理解するための枠組みとして扱う。
2023年8月10日開催|2023年度 CCA–WRIシンポジウム「Underground Anxieties」ライブ配信アーカイブ(CCA Youtubeチャンネルより)
アンドレア・アルベルト・ドゥット/Andrea Alberto Dutto
アイダホ大学カレッジ・オブ・アート&アーキテクチャー建築学科 助教。2023年にはモントリオールのカナダ建築センターにて特別研究員を務め、2021年から2023年にかけてはアーヘン工科大学建築理論講座の助手として教育・研究に携わる。アーヘン工科大学とトリノ工科大学による共同プログラムで建築学の博士号を取得後、ヨーロッパ各地の大学や研究機関と連携し研究を継続。現在は、実験的なシェルターや、エネルギー危機および環境問題への応答として設計されたアース・シェルターおよびその類型の研究に注力している。






