WINDOW RESEARCH INSTITUTE

展覧会『Eye Camera Window: Takashi Homma on Le Corbusier』がカナダ建築センター（モントリオール ）で開催されている。会場に並ぶのは、ル・コルビュジエ建築の窓をとらえた写真家ホンマタカシによる作品の数々。建築家の視線を切り取るフレームとしての窓に着目したホンマが、十数年もの歳月をかけ、世界各地を巡り撮影したシリーズの一部である。2019年には写真集としても発表されている同シリーズについて、かねてより制作をサポートしてきたカナダ建築センターと窓研究所が写真家に話を聞いた。

 

2002年から2018年の間、ホンマは写真の研究活動を行うかたわらでヨーロッパ、アジア地域を重点的に訪問し、数多のル・コルビュジエ建築を撮影。写真を撮り進めるなかでル・コルビュジエ建築の構成要素としての窓の重要性に着目するようになり、関心を高めていった。

注意深いカットや丁寧なフレーミングで構成されたホンマの作品からは、撮影者が建物を目撃したという事実だけでなく、どのようにその建物を体験をしたか、という部分までもを読み取ることができる。ル・コルビュジエ自身も写真家であり、熱心なコレクターであり、写真の原理を建築に取り入れたビジュアル・コミュニケーションの戦略家であった。窓は写真と同じように私たちの視界をフレームに収め、私たちが空間を知覚するまでの道筋を整理し、内部と外部、建築と風景の間の複雑な関係を仲介する装置なのである。

『Eye Camera Window: Takashi Homma on Le Corbusier』は、ホンマによる一連の写真からル・コルビュジエとホンマの作品における空間的、知覚的なモチーフとしての窓を提示し、見るという行為を問う展覧会である。会場ではさらに、CCA所蔵のル・コルビュジエによるドローイングの原画を一部公開。窓や開口部を用いて景色をつくり出したル・コルビュジエの思想を紐解いていく。

『Eye Camera Window: Takashi Homma on Le Corbusier』
会場：Octagonal gallery, Canadian Centre for Architecture
会期：2020年10月29日（木）～2021年8月15日（日）

 

カナダ建築センター｜Canadian Centre for Architecture
住所：1920 rue Baile, Montréal Québec H3H 2S6, Canada
ウェブサイト：ww.cca.qc.ca

 

関連書籍
ホンマタカシ著『Looking Through: Le Corbusier Windows』
カナダ建築センター／一般財団法人 窓研究所／ヴァルター・ケーニッヒ／2019年
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