CCA-WRI Research Fellowship Program
All of the Above: A Global Future of Energy
本書のプロジェクトは、世界のエネルギー産業の関係者が、「あらゆる選択肢を併用する(all of the above)」という解決策を通して、エネルギーの未来をどのように捉えているのかを明らかにする。この考え方は、エネルギーをめぐる公正を実現するためには、ほかのエネルギーインフラとともに、化石燃料のインフラも必要であると強調するものだ。本書では、ガーナにおけるカルパワー社の浮体式発電所の導入を、太陽光発電所や電気自動車(EV)の普及とあわせて考察し、このアプローチがグローバルサウスでどのように現れているのかを問う。エネルギー分野の専門家たちが、こうした解決策を積極的につくり上げていく過程を示すことで、エネルギーインフラを直線的な時間軸上の進歩や移行として捉える、広く共有された理解を批判的に検討する。
CCA–WRIが掲げる「間にある状態(between)」を分析するという問いに応答し、私は、発電船のような暫定的な電力インフラが、導入先における長期的な発展や直線的な進歩への期待を、どのように事業の基盤としてきたのかを考察した。供給企業は、これらを一時的なシステムとして位置づけ、その役割を終えることで、化石燃料に依存しない新たな近代化の時代が始まると説明していた。浮体式発電所の形態的な特徴も、その可能性を裏づけるものとして提示された。しかし、その契約は、国家の送電網への長期的な接続を優先する関係を生み出し、暫定的な期間を引き延ばすことで、クリーン技術への移行を先送りしていた。
電力供給企業は、経済的・政治的な利害から、この過渡的な期間を可能な限り長く維持することに力を注いできた。その間、国の資源を取り込みながら、自らが不要となる時代の到来を遅らせていたのである。この意味で、暫定的な電力インフラは「先送りの技術」を構成していた。私の研究が問うのは、過渡的であることが、いかにして進歩を阻む技術となったのかということである。そして、より重要なのは、こうした過渡的な装置の広がりが、エネルギーのグローバルな未来と気候変動にとって何を意味するのかという問いである。
CCAの充実した知的環境では、建築史、美術史、メディア研究など、さまざまな分野を専門とするフェローたちと、このプロジェクトについて議論することができた。博士課程の学生によるセミナーでは、空間の動態をめぐる研究の今後を見据える議論が生まれた。一方、より経験豊かなフェローとの共同セッションや交流の場では、過渡性や永続性・非永続性をはじめ、多様な主題について意見を交わす機会が得られた。
CCAのアーカイブでは、ガーナなどのポストコロニアル国家の形成に関する貴重な資料を閲覧しながら、1960年代から1970年代にかけての世界各地のエネルギー体制の発展を調査した。また、「Mad Skills」などの展覧会は、労働体制、経済成長、建設といった、私の研究関心と重なる問題について、多様な視点を提示していた。さらに、CCAの書店と図書館は、新旧の出版物を自由に手に取り、読み進めることのできる場でもあった。
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「Energy Always: 2024 CCA-WRI Research Symposium」での発表より。シンポジウム全編の記録映像は、CCA ウェブサイトでご覧いただけます。
About the Fellow

ギョクチェ・ギュネル/Gökçe Günel
2024 CCA-WRI Research Fellow
ライス大学文化人類学准教授。エネルギーや気候変動に関わる課題を背景に、インフラがいかに変容していくのかを研究している。著書『Spaceship in the Desert: Energy, Climate Change and Urban Design in Abu Dhabi』(デューク大学出版局、2019年)では、アラブ首長国連邦における再生可能エネルギーとクリーン技術のインフラ整備を、とりわけマスダール・シティのプロジェクトに焦点を当てて考察した。
刊行予定の民族誌的単著『All of the Above: A Global Future of Energy』では、ガーナに導入されたトルコ製の浮体式発電所を通して、エネルギー移行をめぐる語りを分析している。「A Manifesto for Patchwork Ethnography」(2020年)の共著者であり、「Patchwork Ethnography」を共同で主導している。



