Grant Results 2022年度 採択テーマ CCA-WRI Research Fellowship
Made of Sunshine: Urban Commons and Real Estate, Montréal, Canada
都市のコモンズと不動産開発――モントリオールにおける実践
31 Mar 2025
- Keywords
- Architecture
- CCA-WRI
公益財団法人 窓研究所は、カナダ建築センター(Canadian Centre for Architecture)と共同でフェローシップ・プログラム「CCA-WRI Research Fellowship」を実施しています。本記事は、2022年度リサーチフェローのひとりであるアリーナ・ナズメーヴァ氏の研究テーマを紹介するものです。
研究テーマ概要
本プロジェクトは、ラルフ・ノウルズが1960年代に提唱した「ソーラー・エンベロープ(solar envelope)」の概念に基づき、代替的な都市ゾーニングの方法を提案するものである。ソーラー・エンベロープは、太陽の動き、地形、建物の方位といった要素を設計パラメーターとし、過度な影を生むことなく日照を最大限に確保するための立体的なゾーニング規制を構築する。これにより、都市形態を日々・季節ごとの太陽のリズムに適応させ、都市空間全体における公平な日照分配を可能にする。
モントリオールのヴィル=マリー区における予備的調査では、日照不足が予測される区域に対し、ソーラー・エンベロープを導入したシミュレーションを行い、都市空間の構成がいかに変化し、公園や通り、建物により多くの太陽光を届けられるかを視覚化した。
都市はつねに多様な力によってかたちづくられている。資本主義的な直線的時間が中心街の垂直的集積に表れるとすれば、ソーラー・エンベロープによる設計は、都市における循環的時間のリズムを表現する可能性を持つ。金融投機に駆動された垂直成長を受け入れるのではなく、太陽光を共有資源とみなし、それを守る枠組みとしてソーラー・エンベロープは機能する。
『2022 CCA-WRI Research Symposium』(2022年8月24日、モントリオール)記録映像より
アリーナ・ナズメーヴァ/Alina Nazmeeva
建築家、教育者、メディアアーティスト。タタールスタン生まれ。フィジカルなインスタレーションとデジタル・シミュレーションを通じて、テクノロジーとデジタルメディアがもたらす物質的・社会的・文化的な影響を探究している。イリノイ大学建築学部にてコンピュテーション分野の助教を務める。MIT建築・都市計画学部で修士号を取得後、ミシガン大学(2022–24)、カナダ建築センター(2022)、ストレルカ・インスティテュート(2017)でリサーチフェローとして活動。
これまでMIT Future Urban Collectives Labでは新しい集合のかたちをめぐる物理/デジタル空間のプロトタイプ開発に取り組み、Real Estate Innovation Labではバーチャル空間における経済と設計の関係について研究。作品はヴェネチア建築ビエンナーレ、FutureArts Seattle、Boston Cyberarts、Architecture + Design Museum(ロサンゼルス)、Plexus Projects(NY)、DA Z(チューリッヒ)などで発表され、Beall Center for Art + Technologyでの展示を予定している。執筆は Plat、Voices、Media-N などに掲載。ハーバードGSD、プラハ美術・建築・デザインアカデミー、ミラノ工科大学、SIGGRAPH Asia 2024(予定)などで研究発表を行っている。
