菊本英紀(東京大学生産技術研究所 准教授)
「Fluid Diode Windowによる自然換気の促進と制御 ―風向選択性を持つ地球環境時代のガラリ―」
04 Jun 2024
- Keywords
- Architecture
- Ecology
- WRI session
公益財団法人窓研究所は、当財団が関係した研究の成果を共有するための場として、2024年4月20日(土)に「WRI session 研究報告会 2024」を開催し、その様子をオンラインにて配信いたしました。本記事は登壇者のひとりである菊本英紀氏(東京大学生産技術研究所 准教授)の講演内容を再構成したものです。
建物においては、自然換気の利用により機械換気の負荷軽減による省エネルギー化や室内空気質の改善が期待できる。しかし、単純な開口での自然換気では、外部風向の変化により通風経路の制御が難しく、意図せず隣接する部屋の空気質を悪化させる可能性がある。そこで本研究は、流れの向きにより空気流への抵抗が変化するような構造を持つ開口部、Fluid Diode Windowを開発し、自然換気の経路をより適切に制御して活用することで、低い環境負荷で高い室内空気質を実現することを目指している。
菊本英紀/Hideki Kikumoto
2013年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程を修了。その後、東京大学生産技術研究所での助教、講師を経た後、2020年より准教授(現職)。2022年秋から1年間はオランダ・アイントホーフェン工科大学での客員研究員も経験。都市・建築環境工学を専門とし、特に空気・熱・風環境に重点をおいた研究活動を行っている。安全で快適、スマートな都市・建築空間の創造に資するため、主に環境中での空気流動に関連したモニタリングやシミュレーションに基づく環境センシング技術の開発、およびそれらの環境デザインへの応用に取り組んでいる。これまでに110編以上の査読付き学術論文を発表しており、論文の被引用回数は1800以上、h指数24を記録している。これらの研究に関して日本建築学会奨励賞(2018年)や日本風工学会研究奨励賞(2012年)などを受賞している。