WINDOW RESEARCH INSTITUTE

ニュース

ジャパン・ハウス 巡回企画展
Windowology: New Architectural Views from Japan
窓学 窓は文明であり、文化である (ジャパン・ハウス ロンドン)

27 Oct 2021

Keywords
Exhibitions

2021年12月1日(水)- 2022年4月10日(日)
ジャパン・ハウス ロンドン 地下ギャラリー/
地上階ショーウィンドウ・展示ブース

開催概要
英文開催名 Windowology: New Architectural Views from Japan
和文開催名 Windowology: New Architectural Views from Japan 窓学 窓は文明であり、文化である
開催期間 2021年12月1日(水)〜 2022年4月24日(日) ※会期延長
時間 月曜日〜土曜日 | 10:00 – 20:00/日曜日 | 12:00 – 18:00
会場 ジャパン・ハウス ロンドン
所在地 101-111 Kensington High Street, London W8 5SA, UK
アクセス High Street Kensington駅から徒歩約1分
入場料 無料

─────────

公益財団法人 窓研究所が企画し、建築史家・建築批評家である五十嵐太郎氏の監修のもと、世界3都市を巡回する展覧会『Windowology: New Architectural Views from Japan 窓学 窓は文明であり、文化である』展が、2021年12月1日(水)から2022年4月10日(日)まで、ジャパン・ハウス ロンドンにて開催されます。
本展では、ユニークな視点で窓の新たな可能性について探求します。建築物の中で窓が果たす本来の役割を超えて、建築、映画、写真、漫画、工芸、環境、テクノロジーなどさまざまな切り口から、日常の生活において必要不可欠な窓の存在に迫ります。

公益財団法人 窓研究所は、窓の歴史、機能、窓が生活や社会に与える影響などについて「窓」を学問の対象として多角的に研究、調査する機関です。本展は、2017年、東京都港区のスパイラルで開催された『窓学展─窓から見える世界─』をベースに、過去から現代まで日本の建築に存在してきた窓の魅力を伝えることを目的に、海外での展覧会に向け再構成されたものです。
また、本展は、当初、昨年の開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から日程を変更して開催する運びとなりました。

本展のみどころ
・生活のどこにでもある窓に焦点を当て、日々の暮らしの中で窓が与える影響について検証します。
・建築、映画、写真、漫画、工芸、環境、テクノロジーなどさまざまな視点から「窓」の果たす役割を解明します。
・別名「十三窓席」といわれ、現存する茶室としては最大の窓数を持つ京都の「擁翠亭」を、起こし絵図を基に実寸大の模型で再現。実際に茶室の中に入ることもできる体験型の展示です。
・アーティスト 津田道子氏による窓をテーマとしたインスタレーションは、ジャパン・ハウスのウィンドウ・ディスプレイの前に広がる街並みと館内の境界を撹乱させ、訪れる人々に窓を越えた新たな経験を喚起します。
・プレスプレビューを2021年11月29日(月)に開催します。ご来場にあたっては個別にお問い合わせください。

 

茶室の窓
別名「十三窓席」といわれ、現存する茶室としては最大の窓数を持つ京都の「擁翠亭(ようすいてい)」を、起こし絵図を基に実寸大で再現展示します。起こし絵図とは、日本伝統の和紙製組み立て式の建築模型で、茶匠や大工による打ち合せや設計に活用されていました。展示会場では、実際に茶室の中に入ることができ、13の窓により明るさや雰囲気が劇的に変化する室内の様子を体験することができます。

  • Windowology at Japan House London – Takumi Ota Photography Co., Ltd. 2019  

手仕事の窓
益子焼、藍染め、松江の和紙など、日本の工芸品制作過程における窓の中核的な役割について探求します。窓を開けることで材料を乾燥させる風を取り入れ、蒸気を逃がし、また窓を閉めることで物を燻し、熱を閉じ込めます。この「働く窓」は、職人が手仕事を行う作業場や工房においてなくてはならない役割を果たしています。

  • Windowology at Japan House London -Yoshiharu Tsukamoto Laboratory, Tokyo Institute of Technology. Window Workology. 2014

漫画の窓
日本で最も有名な4コマ漫画のひとつ「サザエさん」から、窓を題材にした8つのエピソードを紹介します。1946年〜1974年まで新聞に連載されたこの国民的漫画は、典型的な日本の一軒家に暮らす多世帯家族の物語で、窓越しに隣人と会話している登場人物の様子など、日本における窓辺の生活が描かれています。大衆の生活を映し出す漫画から日本の窓を読み解きます。

  • Windowology at Japan House London.
    ©︎ HASEGAWA MACHIKO ART MUSEUM

現代住宅の窓
ロンドンを拠点に活動するフランス人写真家、ジェレミ・ステラ氏が日本在住中に撮影した写真を通して、日本の特徴的な住宅の窓を紹介します。ステラ氏の作品からは、日本における都市部の窓が、いかに周辺環境に合わせて人の視線を意識してつくられているか、また一方で、日本の地方にある住宅からは、窓が自然との関係をつくる重要な役割を果たしていることが覗えます。

  • Windowology at Japan House London
    House O by Hideyuki Nakayama © Jérémie Souteyrat

ものがたりの窓
フィクションの世界において、窓は語り合いの場として、離別を示す小道具として、または異空への入り口として機能することがあります。ここでは、日本文学作品のさまざまな物語の中で、窓がいかに描かれているかを紹介します。物語を通して、建築家ではない一般の人々が、窓について潜在的にどのようなイメージを抱いているかを垣間見ることができます。

掬月亭の窓
柱と梁によって成立する伝統的な日本の木造建築は、煉瓦とモルタルでつくられる建築と異なり、間仕切りを横にずらすことで開口部を自由につくることができ、柔軟で移動可能な空間構造を生み出すことができます。香川県の栗林公園にある茶屋「掬月亭(きくげつてい)」を24時間撮影した短編映画では、襖や障子などを動かすことで、内部空間の表情が劇的に様変わりする様子を紹介します。

環境の窓
環境の変化とともに窓の役割は絶えず進化しています。換気や空調など設備技術の発達により、高層ビルに開かない窓が登場するなど、窓の役割は大きく変化してきました。しかし、持続可能な建築が求められる昨今、外部環境の接点である窓の役割はますます重要となっています。ここでは、日本の住宅を例に、熱、光、風などの自然エネルギーがどのように動いているかを解説します。

アートの窓
本展では、アーティスト 津田道子氏による窓をテーマとした作品も紹介します。本作品は、カメラによる映像、鏡、窓枠のようなフレームなどの素材を用いたインスタレーション作品で、ジャパン・ハウス ロンドンの会場に合わせた特別な構成で展開されます。ジャパン・ハウス ロンドン地上階の展示スペースとそれを取り囲む2方向の大きなガラス窓を利用することで、ジャパン・ハウスの内外を行き交う人々と風景が、実像として、また映像や鏡の反射を介して、作品の中で交じり合います。思わぬところで自分や他人の姿が出現し、室内と屋外の境界が撹乱される経験は、プライベートとパブリックの境界をも曖昧にするかもしれません。

  • Photo: Tadasu Yamamoto
    Installation view at “Open Space 2016: Media Conscious” (NTT InterCommunication Center [ICC], Tokyo, 2016)

窓の格言
建築家がつむぎだす窓に関する言葉には、多くの叡智が含まれていることに着目し、古今東西の建築書から、さまざまなテキストを収集しました。そこには「日本の開口部とは?」あるいはそもそも「窓とは何か?」という本質的な問いが少なくありません。本展示では、日本の建築家による窓の格言を中心に紹介します。

窓の動き
窓の開閉方式には多くのバリエーションがあります。日本では水平にスライドする引き違い窓が主流である一方、欧米では上げ下げ窓が主流です。他にもドイツで発明されたドレーキップ窓(ハンドルを回し、内開きや内倒しができる窓)、観音開きのフレンチ・ウィンドウなど、地域の固有性と結びついた窓に着目しました。本展示では、さまざまな窓の動き方を抽象化しつつ、音と映像によって表現します。

  • Windowology at Japan House London – Still from the movie ‘Index of Window Sounds and Movements’ 2019.
    Researched by Yoh Komiyama. Directed by Tomohiro Okazaki

ジャパン・ハウス ロンドン企画局長 サイモン・ライト氏のコメント
すべての人にとって、これまでにはない新しい体験ができる展覧会となることを願っています。本展は、日本の茶室に見られる空間をデザインする窓や、職人さんたちが工芸品をつくる工房にある窓など、普段は見過ごされがちな建築物の側面にスポットライトを当てた展覧会です。本展を通じて、日本における窓のユニークな役割を知っていただき、日常生活において窓が与えるさまざまな影響や窓の持つ新たな可能性など、異なる複数の視点に目を向けていただけることを願っています。

「窓学」総合監修 五十嵐太郎氏のコメント
新型コロナウイルスのパンデミックにより長期的な社会的隔離が続き、窓は我々にとって新たな意味を持つようになりました。窓辺を介し社会とのつながりを維持するだけでなく、窓は、医療従事者へ感謝のメッセージを送り、歌を歌い、楽器を弾き、絵を飾るクリエイティブな場となりました。また、室内の換気といった物理的な意味でも、より重要な役割を果たすようになりました。そして、窓が持つ「開く・閉じる」という2つの相反する役割は、経済活動を再開すべきかまたは感染防止を重視して閉鎖すべきかというコロナ禍の社会的課題をも象徴しています。この度ジャパン・ハウス ロンドンにて、我々が行っている「窓学」の多角的な研究成果を紹介することができ大変光栄に思います。この展覧会が、窓が持つ重要性について改めて考えることのできるきっかけになれば幸いです。

─────────

窓研究所について
公益財団法人 窓研究所は、「窓は文明であり、文化である」の思想のもと、建築文化の発展に寄与するべく、窓や建築に関する多角的な知見の収集・発信に取り組み、研究や文化事業などの助成・開催を行う公益 財団法人です。窓研究所は、過去10年にわたり独自に研究活動を実施するに留まらず、東京国立近代美術館での『窓展』の開催など、日本国内外の大学や研究者との連携により、建築、文化、芸術などの分野における国際的な取り組みを展開しています。

公式ウェブサイト: https://madoken.jp
Facebook: https://www.facebook.com/madokenjp/
Instagram: https://www.instagram.com/windowresearchinstitute/
Twitter: https://twitter.com/madokenjp
本展特設ウェブサイト: https://windowology-exhibitions.madoken.jp

 

ジャパン・ハウスについて
ジャパン・ハウスは、日本の多様な魅力や政策・取り組み・立場を発信することにより、日本への理解と共感の裾野を広げることを目的に、外務省により世界の3都市(サンパウロ・ロンドン・ロサンゼルス)に設置された対外発信拠点です。

ジャパン・ハウス ロンドンは、日本文化への関心が高まる欧州の拠点として、ロンドン市内の文化的、商業的建造物が多く所在するエリアの目抜き通りケンジントン・ハイストリートに2018年6月に開館しました。アールデコ調の歴史的建造物の中の3フロアにわたり、展示ギャラリー、多目的スペース、ライブラリー、レストラン、カフェ、ショップを備えた複合施設として、アート、デザイン、食、建築、テクノロジー
など日本の多様な魅力を通して、真の日本との出会いを現地の人々に提供しています。

公式ウェブサイト: www.japanhouselondon.uk
Facebook: www.facebook.com/japanhouseldn
Instagram: www.instagram.com/japanhouseldn
Twitter: www.twitter.com/japanhouseldn
ニュースレターへの登録: https://www.japanhouselondon.uk/discover/enewsletter/

 

五十嵐 太郎氏について
展示ディレクター/建築史家/建築批評家/「窓学」総合監修 1967年パリ生まれ。1990年東京大学工学部建築学科卒業。1992年同大学大学院修士課程修了。博士(工学)。現在、東北大学大学院教授。あいちトリエンナーレ2013芸術監督、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2008日本館コミッショナー、『インポッシブル・アーキテクチャー』展(2019-2020)の監修を務めた。第64回文化庁芸術賞新人賞受賞。近刊に『モダニズム崩壊後の建築』(2018)、『建築の東京』(2020)など。

 

津田 道子氏について
アーティスト。1980年神奈川生まれ。インスタレーション、映像、パフォーマンスなど多様な形態で、鑑賞者の視線と動作によって不可視の存在を示唆する作品を制作。2016年より神村恵とのユニット「乳歯」としてパフォーマンスを行う。主な展覧会に、2020年『Arts Towada十周年記念 インター+プレイ展 第1期』(十和田市現代美術館)、2019年『あいちトリエンナーレ2019: 情の時代(Taming Y/Our Passion)』(四間道会場 伊藤家住宅)、『六本木クロッシング2019展: つないでみる』(森美術館)など。主な個展に、2020年『Trilogue』(TARO NASU)、2017年『Observing Forest』(Zarya現代美術センター、ウラジオストク)などがある。2013年東京藝術大学大学院映像研究科で博士号を取得。金沢美術工芸大学 准教授。2019年にACCのグランティとしてニューヨークに滞在。

 

Windowology: New Architectural Views from Japan  – 関係者クレジット
主催:ジャパン・ハウス ロンドン
企画:公益財団法人 窓研究所
特別協力:擁翠亭保存会、長谷川町子美術館、堀口捨己資料アーカイブズ
展示ディレクター:五十嵐太郎
展示アシスタント:柴田直美
会場デザイン:西澤徹夫、佐藤熊弥(西澤徹夫建築事務所)
展示グラフィック:岡本健、紺野達也(岡本健デザイン事務所)
プロジェクトマネジメント:小宮山洋
什器制作:東京スタデオ
広報:小池美紀、相沢美恵(HOW)

作品クレジット
アートの窓
津田道子
遠藤豊(LUFTZUG)
イトウユウヤ
手仕事の窓
研究:東京工業大学 塚本由晴研究室
環境の窓
研究:小玉祐一郎+滋賀県立大学 金子尚志研究室
ものがたりの窓
研究:原広司+東北大学 五十嵐太郎研究室
イラスト:信濃八太郎
掬月亭の窓
研究(映画):早稲田大学 中谷礼仁研究室+瀬尾憲司
茶室の窓
設計:西澤徹夫建築事務所+岡本健デザイン事務所
製作:東京スタデオ
写真:太田拓実
映像:コミューンラボ
漫画の窓
研究:東北大学 五十嵐太郎研究室
現代住宅の窓
写真:ジェレミ・ステラ
窓の格言
研究:東北大学 五十嵐太郎研究室
窓の動き
研究:小宮山洋
映像:岡崎智弘
録音・分析:小野寺唯、松尾謙二郎(invisible designs lab)

 

掲載・取材に関するお問い合わせ先
公益財団法人 窓研究所 PR事務局 HOW INC.
TEL. 03-5414-6405 / FAX. 03-5414-6406 / EMAIL. pressrelease@how-pr.co.jp

RELATED ARTICLES

NEW ARTICLES