20 Oct 2020
岩手県盛岡市にある江戸寛永2年創業の南部鉄器工房。現在使われている建物は、明治17年にあった大火事の翌年につくられたもので、細長く奥行きのある敷地の中で、商店、主屋、中庭、工房が連なる町家型の配置をとる。工房内で行なわれる鉄器の型枠づくりと、固まった鉄器の研磨作業は、職人の手元が影で隠れないよう、南東の壁の高い位置に並んだ引き違いの窓に向き合って行なわれる。職人が座る位置の上部にある高窓も工房内に光を入れる。火を使う作業場の上には、煙出の窓があり、網だけが貼られ外気と繋がっている。その上に雪止めのついた屋根がかかっている。
鈴木盛久工房
(南部鉄器/岩手県盛岡市)
本コラムは、世界の窓辺とそのふるまいについて、東京工業大学 塚本由晴研究室との共同研究「窓の仕事学」から抜粋したものです。