27 Mar 2019
福岡県八女市で300年続く八女茶の老舗。現在の建物は江戸時代に建てられ、その後外国商館に倣い窓の外に覆いをつけて拝見窓にした。許斐本家は、まだ八女茶の品質が安定していなかった大正から昭和にかけて、お茶農家のパトロンとして、農家が持ってきたお茶の品質を拝見窓で確かめ、品質に関して指導を行なっていた。お茶を外国に輸出する際、色を良くするために着色したり、かさ増しのために古葉を混ぜたりするところもあった。拝見窓では、そうした葉っぱの不良を、均一な光量で審査し品質を保証するために、ガラスの引き違い戸の外に、上から安定した光を取り込むための覆いがつき、光が乱反射しないように板は黒く染色されている。
矢部屋許斐本家
茶葉/ 福岡県八女市
本コラムは、世界の窓辺とそのふるまいについて、東京工業大学 塚本由晴研究室との共同研究「窓の仕事学」から抜粋したものです。