WINDOW RESEARCH INSTITUTE

連載 窓の音と動きの図鑑

擁翠亭
06 / 07 下地窓と連子窓、08 躙口、09 / 10 下地窓と連子窓

小宮山洋(プロダクトデザイナー)

04 Dec 2021

Keywords
Design
Product Design

06 / 07 下地窓と連子窓
遠州が好んだ連子窓の上に下地窓を重ねる手法。下地窓の室外側には簾、連子窓の室内側は片引き障子で構成されている。

 

08 躙口
躙口(にじりぐち)とは、客のために設けられた、片引戸の小さな出入口のこと。躙口は、「潜り」(くぐり)とも言う。躙口の潜りの戸は、躙戸(にじりど)または細戸(ささど)とも呼ばれ、躙口の建具に雨戸を切断して用いたと言われ、その簡素さを表現している。上框がなく、二枚半といわれるように、三枚の平板を大中小または大大小の割で並べ、幅の広い二枚は板目、幅の狭い一枚は柾目で、内側の中程と上の方に横に桟(さん)を打ちつけてある。

 

09 / 10 下地窓と連子窓
遠州が好んだ連子窓の上に下地窓を重ねる手法で、下地窓は片引き障子、連子窓は両引きの襖で構成されている。畳際の小襖は、閉めると壁のように光を遮り、開くと明るく開放的になり、茶会の亭主の趣向により光量を調整することができ、光の演出が可能となる。

 

擁翠亭について
日本の茶室は狭い空間に多くの種類の窓を備えた特殊な建築物である。擁翠亭は、江戸時代前期の寛永年間(一六二四~一六四四)に、加賀藩二代藩主前田利常が、京の装剣金工師で前田家の家臣であった後藤覚乗の屋敷に、上段付きの書院や堂腰掛とともに建てた草庵茶室で、設計は小堀遠州。十三の窓を持つ多窓茶室であったことから、別名を「十三窓席」と言い現存する茶室で最も窓の多い茶室として知られている。本プロジェクトでは、擁翠亭の窓の開閉する音と動きを観察し、十三窓の繊細で豊かな振る舞いを抽出することを目的としている。

 

 

窓の音と動きの図鑑
「窓」の開閉する「音」と「動き」を観察・抽出し、私たちが耳や目で「窓」をどのように認知しているのかを解き明かす取り組み。「窓の音と動きの図鑑」は「Window Products Inside」の最初となるリサーチプロジェクトで、プロダクトデザイナー小宮山洋窓研究所の協働で行われており、映像表現を岡崎智弘が作りあげている。

 

Window Products Inside
プロダクトデザイナー 小宮山洋によるリサーチプロジェクト。「窓」そのものに内包されている意味を抽出し再定義することで、多様な生活文化や新しい習慣を作り出す「窓」の鍵となるものを探す。
windowproductsinside.com

MORE FROM THE SERIES

RELATED ARTICLES

NEW ARTICLES