WINDOW RESEARCH INSTITUTE

公益財団法人窓研究所は、カナダ建築センター(CCA)と共同で、「CCA–WRI Research Fellowship Program」を実施しています。第2期は「Vacancy(空き)」をテーマに、2026年度から3年間にわたりプログラムを行います。フェローは各年度の公募と選考を経て選出され、カナダ建築センターで最長3か月間のリサーチ滞在に取り組みます。

 

第2期公募テーマ「Vacancy」

 

かつて人々の生活を支えていた土地や建物が、いまでは使われないまま世界各地に点在しています。経済構造の変化や人口減少、産業の移転など、さまざまな要因によって用途を失い、空き地や空き家として残されているのです。こうした「Vacancy(空き)」は、都市や地域の成長と衰退の過程で生じ、社会課題とされる一方で、土地利用や開発のあり方を見直す契機を生み出しています。

 

本プログラムは、この現象をめぐる問題意識を共有し、フェロー同士の対話を通じて新たな視点を探ることを目的としています。フェローは、カナダ建築センターのコレクションを活用しながら、自身のプロジェクトを歴史的文脈のなかで捉え直し、その成果を実践へとつなげます。

 

上記の趣旨を踏まえ、本プログラムでは「Vacancy」をテーマに、デザイン実践に新たな視点や可能性をもたらす提案を募集します。アプローチの形式は問いませんが、都市や農村で使われなくなった実在の建物や土地に着目し、地域の暮らしや社会との関わりから「Vacancy」を考察するプロジェクトを歓迎します。

 

2026年度プログラム 公募概要

支援内容・カナダ建築センターでのリサーチ滞在(1〜3か月)
・渡航費およびビザ関連費用
・専用オフィスおよびカナダ建築センターコレクションへのアクセス
・月額5,000カナダドルの支援金(最大3か月分)

プログラム実施期間2026年6月1日から9月30日の期間内で、1〜3か月間の滞在期間を設定します。

応募資格英語またはフランス語で研究および発表を行うことができ、以下のいずれかに該当する者。
・関連分野で十分な実務経験を有する実務者
 建築家、ランドスケープ・アーキテクト、都市計画家、行政担当者、文化実践者、アーティストなど
・関連分野の研究に携わる者(博士号を有する研究者)

 

特に、実践と学術を横断し、研究・出版・展示などを通じて公共に貢献するリサーチ活動に継続的に取り組んでいる応募者の参加を歓迎します。

 

フェローは、所定のプログラム期間中にカナダ建築センターでリサーチ滞在を行う必要があります。滞在中は、研究の進捗を発表し、セミナーやワークショップを通じてCCAコミュニティと交流します。

 

※営利を目的とする応募は助成対象外です。

採択人数3名

応募受付期間2025年10月20日〜12月21日 午前0時(米東部時間)

応募方法詳しい応募方法は、カナダ建築センターウェブサイト ↗︎ にてご確認ください。

 

※本ページの内容は募集要項(英文)の参考和訳です。応募の際は、カナダ建築センターウェブサイト掲載の情報を必ずご確認ください。

採択結果採択結果は2026年2月に通知いたします。

コレクション本プロジェクトにおいて、カナダ建築センターのコレクションは開かれた探究の場として位置づけられます。たとえばOMAによるダウンズビュー・パーク開発案、ゴードン・マッタ=クラークのサイトスペシフィック作品、あるいはモントリオールにおける居住の不安定な場を仮説的に捉えて考察した川俣正の写真プロジェクトなど、歴史的視点からの考察が行われにくい実践的なデザイン・プロジェクトにも光を当てることで、フェローたちは都市や農村の転換期にある場所との関わりを再考する契機を得ることができます。

 

カナダ建築センターが所蔵する主なコレクションは、 Guide to archival holdings ↗︎ にて確認いただけます。

 

コレクションの詳しい内容は、CCA Collection Search Tool ↗︎ からも検索できます。

 

選考委員(敬称省略、順不同)・モーリス・D・コックス(ハーバード大学GSD 都市計画・デザイン教授)
・常山未央(建築家、studio mnm / HOLES)
・ジョヴァンナ・ボラーシ(カナダ建築センター館長)
・ラフィコ・ルイス(カナダ建築センター研究部門代表)

お問い合わせプログラムに関する質問はカナダ建築センター担当部門(studium@cca.qc.ca)までお問い合わせください。(英仏のみ受付)

 

過去の採択例

 

2022年度から2024年度に実施した本プログラムの第1期では、「Above/Below/Between: Light on a Damaged Planet」を共通テーマに、計9名のフェローを採択しました。各フェローの研究テーマ概要は、こちらからご覧いただけます。

 
 

カナダ建築センター|Canadian Centre for Architecture

カナダ建築センターは、建築を広く社会の関心事としてとらえ、グローバルに活動する研究機関です。建築が現代の生活をどのように形づくり、また変えていくのかという問いを出発点に、展覧会、出版、研究、アーカイブ収集、パブリックプログラムなど多様な活動を展開しています。
CCAは、建築をめぐる思考の場として、外部の研究者や一般の人々とも協働しながら、現代社会における学術的・文化的課題に取り組んでいます。
cca.qc.ca