窓コラム
第34回 イスラエル・エルサレム編
第33回 エジプト・ナイル編
「ナイルを駆け抜ける」
第32回 エジプト・カイロ編(2)
「アーチに向かう」
第31回 エジプト・カイロ編
「複合する街」
第30回 ヨルダン・ペトラ編
「大地を直感する」
第29回 イラン・エスファハン編
「宗教と街」
第28回 イラン・マースーレ編
「ずれる窓」
第27回 イラン・ヤズド編
「砂漠で呼吸する」
第26回 イラン タフテ・ソレイマーン編「囲うことから」
第25回 イラン・タブリーズ編「都市はバザール」
第24回 イラン・東ギーラーン編「家を“置く”」(後編)
東ギーラーンの村、Kachalamでは、ある男性が初対面にもかかわらず車で村を案内してくれた。途中、ひときわ古さの目立つ一軒の家を発見した。「ここを見たい」と言うと車を停め、ありがたいことに住人の老夫婦を連れて来てくれた。建物の一階に夫婦二人で住んでいるという。片方の屋根がなくなり半壊状態にあるこの家は、今回見た中では最も古いものであったと思う。彼らとの意思疎通があまりできない中で得た情報を信じるなら、築140年とのことである。
Kachalam村で最も古そうな家
第23回 イラン・東ギーラーン編「家を“置く”」(前編)
第22回 インド・キッバル「かくれた穴」(後編)
高地の朝は寒かった。
しかし、宿の3階にあるテラスに出てみると驚くほどあたたかい。たしかに気温は低いのに、太陽の下は暑いぐらいである。むしろ、痛いほどの日差しが降り注ぐ。思えばチベット人は皆、鼻や頬の上が真っ黒に日焼けしている。彼らの顔は、高地に住む人間ゆえの太陽との近さを物語る。タルチョ(チベット仏教の五色の旗)がはためくテラスを見渡すと、キッバル村での様々な生活風景を覗くことができる。
宿の3階テラス
第21回 インド・キッバル「かくれた穴」(前編)
第20回 インド・キナウル地方「張り出しの村」(後編)
一晩で縫いあがったズボンを受け取りに、小さな村を歩いて再び家を訪ねた。お母さんは羊毛から生地を織り、それをお父さんがズボンに仕立てるらしい。『桃太郎』のおじいさん・おばあさんみたいな分業。青年は、田舎から離れて大きな街に拠点を持ち、仕立てられたズボンを売っているという。
「ズボンの家」外観
第19回 インド・キナウル地方「張り出しの村」(中編)
キナウル地方では、標高2~3,000mの谷沿いに集落の多くが営まれている。かつて秘境と呼ばれたであろう北インドの山の上のこんな場所でも、バスは毎日運行していた。バスの揺れさえ我慢できれば(それがひどいのだが)案外すんなりと移動できてしまう時代である。
谷沿いにあるサングラの街
第18回 インド・キナウル地方「張り出しの村」(前編)
第17回 シェムリアップ 「洪水と床」(後編)
砂にタイヤをめり込ませながらフラフラと進んでいた自転車は、湖にたどり着く前についに進まなくなった。川辺の砂地に、雑然と建物が並ぶ集落が広がっていた。
川べりの砂地に広がる集落
第16回 シェムリアップ 「洪水と床」(前編)
第15回 東チベット・色達 「赤いスリバチ」(後編)
ラルン・ガル・ゴンパの中心に降りてみると、ちょうど講義や集会の終わった時間なのか、僧侶たちが次々と僧院に出入りしているところだった。同じ色の袈裟を着た人々が中心に吸い込まれ、そして散っていく姿が、スリバチ地形と呼応した生活リズムとなっているようで興味深い。
町の中心の僧院に集まる僧侶たち。建物も服も同じ色
第14回 東チベット・色達 「赤いスリバチ」(前編)
第13回 タシュクルガン「天窓の記憶」(後編)
翌朝、予定通りダンディの家に行くと、彼と同い年くらいのもう一人の男が合流した。タバコを一本吸い終え、3人で家を出る。
到着したのはダンディの家と同じような石造りで黄土色の泥を塗った家であった。そこには様々に着飾った老若男女がおり、なにやら祭りでもはじまりそうな雰囲気であった。
右が訪れた家の外観。左はコンクリート造の家だが、色や文様は共通している
第12回 タシュクルガン「天窓の記憶」(中編)
フロントガラスにひびのあるダンディの車に7分ほど乗って着いたのは、先ほどまでの菜の花畑の広がる集落とは全くちがう湿地帯であった。なめらかでモコモコとした草原のなかを川が流れている。
一部は景勝地として観光客に開かれているようで、その日は観光客らしい人影を見なかったが、さながら日本の「尾瀬ハイキングコース」で見かけるような通路や休憩スペースなどがつくられていた。ダンディの背中について、湿地帯の奥の方へ歩いてゆく。
モコモコとした湿地帯をゆく
第11回 タシュクルガン「天窓の記憶」(前編)
第10回 トルファン「海より低い砂漠」(後編)
ぶどう干し小屋から教えられたトルファンにおける建築のつくりかたのエッセンスは、レンガとポプラと少しの枝葉で影をつくり、風を通すことだった。
トルファンでは、7軒のウイグル人の家を訪問した。以下がそのうち6軒と、前回のぶどう干し小屋群の位置をプロットした図である。格子状の広い道が広がる中心部には漢民族が多いらしく、その周りの緑が多いところにウイグル集落は位置している。
訪問した家のプロット(Google Earthの航空写真に筆者プロット)
第9回 トルファン「海より低い砂漠」(中編)
集落の外れの丘に発見したぶどう干し小屋群は、実はトルファンに到着した日の早朝、10時間ほどの電車移動に疲れたままバスで宿の近くに向かう時に見たものだった。朝日に照らされた丘の上に、同じ方向を向いて立つ穴ぼこだらけの建物群は、寝ぼけまなこの僕を引きつけた。
ウイグル集落を抜けて、小屋群の待つはげた丘に向かう。斜面の上に整然と並ぶそれらの多くが、日干しレンガでできている。足元に広がる丘と同じ色だ。水と太陽によって、丘が小屋に変形したのである。一部、焼成レンガを使うものもあり、基礎だけを残している跡も見つかった。
ぶどう干し小屋群。水と太陽による、丘の変形
第8回 トルファン「海より低い砂漠」(前編)
第7回 張村「地下の都合」(後編)
100歳の古老のヤオトンを訪問して、なんだか奇妙な部分のあることに気がついた。ヤオトンの部屋の入り口は、通常は先の少し尖ったアーチ型をしている。しかし、よく見ると、穴の隅のほうでは綺麗なアーチが成り立っていない。
100歳の古老のヤオトン。隅のほうで、アーチの半分が埋もれている
第6回 張村「地下の都合」(中編)
やはり、村を見るにはまず老人に出会うことだ。これまでの旅で培ってきた自分流の方法論を組み立てながら、木々の緑が美しく映える黄土色の大地の中を歩いた。そして、頭にハンカチを乗せて木かげで休む婆さんに出会った。
この人はヤオトンに住んでいるのだろうか。とりあえず、スケッチを見せて興味を伝える。もちろん、言葉は少しだけしか伝わらない。
何分か経って、どうにかこちらの意図は伝わったようである。すぐそこに婆さんが今も暮らしているヤオトンがあった。地下へは、中庭の四角い穴とは別の、少し離れた場所につくられた小さな穴から入るようになっていた。膝が悪い婆さんは、杖をつきながらゆっくりと僕を案内してくれた。
ヤオトンへのアプローチ
第5回 張村「地下の都合」(前編)
第4回 烏鎮・「景区」外の家 (後編)
「あなたの家」「あなたの家」と繰り返しながら、景区外の町を爺さんと40分ほど歩いたと思う。その間に何やら新しい大きな建物の建設現場を見たり、舗装されていない細い道を歩いたりと、観光地とは違った生活のシーンをたくさん見た。ついに爺さんの家らしい場所にたどり着いた(あとで気付いたことだが、僕は「あなたの家」という単語さえ間違えていた)。
その家は平屋で、レンガを積んだ壁を白く塗った閉鎖的な家であった。屋根の瓦は景区で見た古い建物と似たようなもので、よく見るとレンガの積み方も似ている。景区外といってもそこに共通点はあるように思えた。ここも一気に建てられたのだろう、周辺にも同じような家が並んでいる。
案内された爺さんの家の正面
第3回 烏鎮・「景区」外の家 (前編)
第2回 上海・窓から生える鉄の棒 (後編)
見るものが決まると、足取りは一気に軽くなる。鉄の棒を探す旅のはじまりである。といっても、10歩も歩けばすぐに見つかる。さっそく、当然のように無数の鉄の棒が生えている集合住宅を発見した。鉄の棒の下には何台か車が停まっているが、落ちてきたりしないのだろうか、少し不安になる。
無数の鉄の棒の下には、車が停まっていた
第1回 上海・窓から生える鉄の棒 (前編)
窓の彩りを考える
テキスタイルコーディネーター/デザイナーの安東陽子さんは、ベテランから若手まで多くの建築家が手がけた作品において、窓まわりのテキスタイル演出を担当。窓に彩りを加えると、空間がより表情豊かになります。安東さんのこれまでの作品の一部を振り返り、窓の彩りについて考えてみましょう──
「SUS福島工場社員寮」2005年 (株式会社布 在職中作品)
設計:伊東豊雄建築設計事務所、 写真:阿野太一
庭園美術館の窓
『Sumally (サマリー) 』とは、“Want(欲しい)”、“Have(持っている)”の2つでモノを分類していく「この世界に存在するすべてのモノの”百科事典”」をコンセプトに誕生した、ソーシャルネットワーキングサービスだ。そのSumallyの立ち上げ人でCEOの山本憲資氏は、ファッションカルチャー誌で編集者として活躍した経歴を持つ。現在でもトレンドカルチャーを体感することは欠かさない山本氏が、2014年11月にリニューアルオープンした東京都庭園美術館に足を運んだ。アール・デコ様式の建築が生み出す、窓と光の関係についての考察──
衣食住の窓
マガジンハウスのクオリティライフ誌『& Premium』エグゼクティブディレクターで、編集者の柴田隆寛氏。著書『TOOLS』、『リサ・ラーソン作品集』や、ウェブマガジン『LIFECYCLING』、『ONE DAY -犬と僕たちの生活』のディレクションなど、これまでに数々のライフスタイルの提案をおこなってきた柴田氏が感じた、「衣食住の窓」とは──
猫とファッションと窓
猫とクリエイターをテーマにしたウェブマガジン『ilove.cat』を主宰、また、東京スタイルを提案し、いまやファッション業界を代表する媒体のひとつとなったウェブマガジン『honeyee.com』、『.fatale』などでフリーランス編集者としても活躍する、服部円さん。愛猫のスカイ、そして自身も現地に取材へと出向いた2015S/Sパリコレクションを通した、猫とファッションの“窓”の風景について──