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ジャパン・ハウス サンパウロにて『WINDOWOLOGY : 窓学 窓は文明であり、文化である』展を開催

23 Jun 2021

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日本文化の中で歴史的な変遷を遂げ、外部との繋がりを可能とする『窓』の存在意義を紐解きます

2021年6月、公益財団法人窓研究所は、ジャパン・ハウス サンパウロにて『WINDOWOLOGY :  窓学 窓は文明であり、文化である』展を6月29日から8月22日まで開催します(入館無料/2F)。ジャパン・ハウスの巡回企画展として窓研究所が企画し、ロサンゼルスに続き2拠点目の開催となる本展では、窓のデザイン、社会との関わり、建築そして文学における窓の役割をご紹介しながら、窓の存在意義を紐解きます。窓は、一見とてもシンプルで日常的なものとして捉えられていますが、パンデミックによる社会的隔離が続く昨今では特に、窓は必要不可欠な存在となっています。

本展では、手仕事の窓、環境の窓、茶室の窓、現代住宅の窓など9つのテーマに分け、図面、模型、写真、映像、漫画や文学作品を通して、日本の様々な環境に適した用途や時代の変化がもたらした多様な様式、外部と内部を繋ぎ光や空気を内部に取り込む役割を担う窓、また寒さや雨から人間を守り、屋外の景色や人々の動きを観察することを可能にする、日常に溶け込む優れた建築構造物としての窓の存在に迫ります。

日本の窓は、伝統的に大部分が木製の柱と梁で作られた構造体の間に、戸や窓といった建具を可動させることによって空間全体をフレキシブルに仕切り、風を通すなどの特徴的な性質を生みます。例えば、茶室は小さな空間に多様な窓を組み込む特別な設計で建てられています。特に「擁翠亭」、別名「十三窓席」は日本で一番窓が多い茶室として知られています。本展では、日本製の手漉き和紙を用い実物大で再現した「擁翠亭」も展示します。

また、窓と日本の伝統工芸の関係も垣間見ることができます。日本の職人が手仕事をおこなう工芸品の作業場や工房において窓は、窓を開けることで材料となる粘土、木材、布や紙などを乾燥させるための風を取り入れ、蒸気を逃がし、また窓を閉めることで物を燻し、熱を取り込めるという生産過程の重要な役割を担っています。

「窓は様々な象徴を秘めた詩的な存在ですが、あまりにも生活に溶け込んでいるため直感的にその価値を感じることはあまりないでしょう。しかし、他者との隔離や孤立と言った、昨今のパンデミック下においては特に、私たちは窓の重要性を感じ、その存在意義を理解せずにはいられないと思います」とジャパン・ハウス サンパウロ企画局長ナターシャ・バルザギ・ジーネン氏は語っています。

本展のキュレーターである五十嵐太郎氏は、窓は歴史的、建築的な価値に加えて危機的な状況下においては、人々が希望や感謝の気持ちを共有するユニークな役割を果たしていると考えています。

「窓は常に、様々な地域や文化を持つ人々それぞれに特有の行動を喚起させてきました。その多様性は、このコロナ渦では特にその特性を強く認識することができると思います。例えば、窓辺に立ち近所の人たちのためにオペラを歌う、医療従事者へ感謝のメッセージを送る、あるいは窓から物を渡すなど、ソーシャルディスタンスを保ちながらもその想いを届けるといった活動があげられます」と語っています。五十嵐氏は日本の工学博士、建築史家、建築評論家であり、東北大学大学院では教授として教鞭をとる一方、2008年の「ヴェネツィア・ビエンナーレ」では日本館のキュレーターとして、また「あいちトリエンナーレ2013」ではアーティスティック・ディレクターとして活躍しています。

『WINDOWOLOGY :  窓学 窓は文明であり、文化である』展は窓を文化的なオブジェクトとして捉え、様々な見方や観点を通して、現代に至るまでの窓の文化にフォーカスした展示です。
ジャパン・ハウス サンパウロでは、オンラインプログラムやSNSでも様々なコンテンツを発信します。また、本館での展示の後、ジャパン・ハウス ロンドンでの開催を予定しています。

 

『WINDOWOLOGY :  窓学 窓は文明であり、文化である』展
開催期間:2021年6月29日~2021年8月22日
会場:ジャパン・ハウス サンパウロ(2F)
住所:サンパウロ市パウリスタ大通り52番地
開館日:火曜日~日曜日
開館時間:11時 ~ 16時
入館無料
*新型コロナウイルスの影響により、定員数を制限して開催しています。詳しくはジャパン・ハウス サンパウロのウェブサイトをご覧ください。

 

ジャパン・ハウス サンパウロについて
ジャパン・ハウスは、日本の多様な魅力や政策・取組の発信を通じ、これまで必ずしも日本に関心がなかった人々を含む幅広い層をひきつけ、親日派・知日派の裾野を一層拡大することを目的に、サンパウロ(ブラジル)、ロンドン(英国)及びロサンゼルス(米国)に設置されています。2017年4月に開館したジャパン・ハウス サンパウロは、一般の方々及び学術・文化機関、民間企業、コミュニティとの連携・協力・交流を生み出す対外発信拠点であり、日本のアート、工芸、ビジネス、スポーツ、デザイン、ファッション、ガストロノミー、観光、科学やテクノロジーなど幅広い分野で、施設やデジタルメディアを使った展示、セミナー、ワークショップなどを展開しています。2020年2月には累計来館者数200万人を突破。パウリスタ通りの主要な施設として定着しています。

ジャパン・ハウス サンパウロの詳しいプログラムやその他のイベント等はこちらをご覧ください。
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窓研究所について
窓研究所は「窓は文明であり、文化である」の思想のもと、建築文化の発展に寄与するべく、窓や建築に関する多角的な知見の収集・発信に取り組み、研究や文化事業等の助成、開催をおこなう公益財団法人です。過去10年にわたり独自に研究活動を実施するに留まらず、国内外の研究機関、美術館等との連携により、建築、文化、芸術などの分野における国際的な取り組みを展開しています。

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─────参考資料─────

展覧会の構成

手仕事の窓
益子焼、藍染、松江の和紙など、日本の職人が手仕事をおこなう工芸品の作業場や工房で、生産過程の一環として機能する窓を紹介します。窓を開けることで材料を乾燥させる風を取り入れ、蒸気を逃がし、また窓を閉めることで物を燻し、熱を閉じ込めます。この「働く窓」は、パートナーとして職人の感受性や技術を成長させているのです。

  • 手仕事の窓
    Yoshiharu Tsukamoto Laboratory, Tokyo Institute of Technology. Window Workology. 2014

環境の窓
環境の変化とともに窓の役割は絶えず進化しています。持続可能な建築が求められる現代において、外部環境の接点である窓の役割に対する重要性は高まっており、自然と感じ合い呼吸する建築が注目されています。本展では、開口部を通して、日本の住宅作品で、熱、光、風がどのように動いているかをご覧いただくことができます。

茶室の窓
別名「十三窓席」と言われ、現存する茶室としては最大の窓数をもつ京都の「擁翠亭」を、起こし絵図を基に実寸大で再現展示します。起こし絵図とは、日本伝統の和紙製組み立て式の建築模型で、茶匠や大工による打合せや設計に活用されていました。展示会場では、原寸大で再現された茶室内の小さな空間に13ある、多様な窓のすがたを楽しむことができます。

  • 茶室の窓
    ©2019 Takumi Ota Photography

掬月亭の窓
香川県高松市・栗林公園内にある「掬月亭」を取り上げ、昼から夜へと移り変わる時間の中で建具の移動により空間に劇的な変化がもたらされる様子を記録したショート・フィルムをご覧いただけます。

ものがたりの窓
フィクションの世界において、窓は、語り合いの場として、離別を示す小道具として、または異空への入り口として機能することがあります。物語を通して、一般の人々が窓について潜在的にどのようなイメージを抱いているかを垣間見ることができます。ここでは日本文学作品の様々な物語の中で、窓がいかに描かれているかを紹介します。

漫画の窓
1946年~1974年まで新聞に連載された当時の典型的な日本の一軒家に暮らす多世帯家族の漫画『サザエさん』から、窓を題材にした8つのエピソードを紹介します。窓越しに隣人と会話している登場人物の様子など、日本における窓辺の生活から窓を読み解きます。

  • 漫画の窓
    ©︎ HASEGAWA MACHIKO ART MUSEUM
  • 漫画の窓
    ©︎ HASEGAWA MACHIKO ART MUSEUM

現代住宅の窓
写真家ジェレミ・ステラが、著名建築家の設計による日本の前衛的な現代住宅を撮影した写真集、『東京の家』(2014年)と『日本、家の列島』(2017年)から抜粋した写真を紹介します。ステラの作品からは、日本における都市部の窓が、いかに周辺環境に合わせて人の視線を意識してつくられているか、また一方で、日本の地方にある住宅では、窓が自然との関係をつくる大きな役割を果たしていることがうかがえます。

  • 現代住宅の窓
    House O by Hideyuki Nakayama © Jérémie Souteyrat

窓の動き
窓の開閉方式には多くのバリエーションがあります。日本では水平にスライドする引き違い窓が主流の一方、欧米では上げ下げ窓が主流です。他にもドイツで発明されたドレーキップ窓(ハンドルを回し、内開きや内倒しができる窓)、観音開きのフレンチ・ウィンドウなど、地域の固有性と結びついた窓に着目しました。本展示では、様々な窓の動き方を抽象化しつつ、音と映像によって表現します。

  • 窓の動き
    Still from the movie ‘Index of Window Sounds and Movements’ 2019. Researched by Yoh Komiyama. Directed by Tomohiro Okazaki

窓の格言
建築家がつむぎだす窓に関する言葉には、多くの叡智が含まれていることに着目し、古今東西の建築書から、様々なテキストを収集しました。そこには「日本の開口部とは?」、あるいはそもそも「窓とは何か?」、という本質的な問いが少なくありません。本展示では、日本の建築家による格言を中心に紹介します。

 

『WINDOWOLOGY :  窓学 窓は文明であり、文化である』
主催:ジャパン・ハウス サンパウロ
企画:公益財団法人 窓研究所
特別協力:擁翠亭保存会、長谷川町子美術館、堀口捨己資料アーカイブズ
展示ディレクター:五十嵐太郎
展示アシスタント:柴田直美
会場デザイン:西澤徹夫、佐藤熊弥(西澤徹夫建築事務所)
展示グラフィック:岡本健、紺野達也(岡本健デザイン事務所)
プロジェクトマネジメント:小宮山洋
什器制作:東京スタデオ
ウェブディレクション:萩原俊矢

作品クレジット
手仕事の窓 研究:東京工業大学 塚本由晴研究室
環境の窓 研究:小玉祐一郎+滋賀県立大学 金子尚志研究室
ものがたりの窓 研究:原広司+東北大学 五十嵐太郎研究室 イラスト:信濃八太郎
映画の窓 研究(映画):早稲田大学 中谷礼仁研究室+瀬尾憲司
茶室の窓 設計:西澤徹夫建築事務所+岡本健デザイン事務所 製作:東京スタデオ 写真:太田拓実 映像:コミューンラボ
漫画の窓 研究:東北大学 五十嵐太郎研究室
現代住宅の窓 写真:ジェレミ・ステラ
窓の動き 研究:小宮山洋 映像:岡崎智弘 録音・分析 : 小野寺唯、松尾謙二郎(invisible designs lab)

 

プレス問い合わせ先

ジャパン・ハウス サンパウロ | imprensa@jhsp.com.br

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