October 2, 2020

曇りガラスに滲み出す生活

木や土が生み出す、澄み切った空気。台所からホクホクと流れ出す、白いろの蒸気。大地に芽吹く草木と、花瓶に浮く切り花の束。夕焼けに染まる空と、液晶テレビの三原色。
人々の暮らしと自然をつなぐ窓辺には、たくさんのいろが混ざり合う。韓国、日本、インド、タイ、そしてもうひとつは想像の場所から───水彩画家のビョン・ヨングンさんが描く、いろとりどりの窓のはなし。

東京に来てから、よく散歩に出かけるようになった。街を歩きながら、ビルや家を見て回るのがひとつの楽しみになった。いろんなかたちの建物に取り付けられた窓の数々。東京の窓は、極端に小さかったり、大きかったりする。そして、プライバシー保護のためか、カーテンや曇りガラスで目隠しされているものが多く目につく。半透明に滲んで見える、東京の暮らし。窓の向こうの日常に、勝手な想像が膨らむ。

 

 

ビョン・ヨングン/Byun Young Geun
韓国出身の水彩画家、イラストレーター、グラフィックノベル作家。現在は東京を拠点とし、書籍やCDジャケットのアートワークを手掛けるなど、幅広く活動。2013年から毎年発表している作品集では、一切の文字を用いずにイラストのみで物語を展開させるグラフィック・ノベルの手法を一貫して取り入れ、日常を取り巻く都市や自然のありかたを独自の視点で描き続けている。