October 19, 2021

CCA-WRI Research Fellowship 2022

カナダ建築センター+窓研究所

窓研究所は、カナダ建築センターと共同のもと、3ヶ年の研究員等派遣プログラム「CCA-WRI Research Fellowship」をあらたに設置し、2022年度に第一期派遣を行います。

本プログラムでは、カナダ建築センターの所蔵コレクションを通して現代社会における諸問題と建築との関係性を探る研究課題に取り組んでいただくことを目的に、研究者(博士号取得者)、建築家、学芸員など、高度な専門知識や技術、卓越した実績を有する国内外の人材を公募で選出し、最長3ヶ月間の日程で同センターへ派遣します。対象者には滞在費、渡航費等を一部支給します。

 

CCA-WRI Research Fellowship 2022
Above/Below/Between: Light on a Damaged Planet
地球は太陽系社会に属します。ここでの一日の長さは、太陽に対する地球の自転周期と位置関係によって定まります。そのなかで人間社会の存続に必要な条件を整えるために、建築は、太陽から放出される光を異なる形に変えたり、一定の方向に誘導したり、受け止めようとしてきました。逆に陽の光が十分に行き渡らない場所では、気温の低下を防止するなど、環境条件を整えるためにシェルターを設けたり、開口部を最小限に抑えて熱や人工光を保持したりする必要が出てきます。窓はとりわけ光が集中する場所で、その成り立ちは複雑に絡み合う生態学的、社会的、文化的な事象の数々とも、どこかしらで関係しています。宇宙規模で見れば、建築のありかたは、人間の豊かな生活を支える太陽と地球特有のサイクルとの関係によって定められているのです。

1970年代、フロン類(CFCs)によるオゾン層の破壊が進み、地球が危機にさらされていることがわかりました。「オゾンホール」は世界的な現象として地球環境の脅威となり、化学汚染が生み出した地球規模の開口部となりました。オゾン層の破壊により地球に流れ込んだ放射線の影響がはじめて認められてから約40年が経過し、その間、国際的な取り組みとCFCの規制活動が進んだことで、南極空上の「ホール」はほぼ完全に消滅しました。しかし、今では二酸化炭素が大気汚染の脅威を引き継いでいるに過ぎません。

こうした状況から、建造環境の衛生状態に対して光が及ぼす作用の複雑さがうかがえます。その光の潜在能力を引き出す役割を担っているのが開口部であり、開口部は疫学的な課題、今日の労働形態のありかた、代替エネルギーの需要など、さまざまな事柄を反映しながら建造環境を整えてくれます。

今日わたしたちが直面する自然環境の現状を受け、大気中と地上、そしてその先の領域において、環境に配慮した建築的手法や設計の導入であったり、建築設計の社会的役割の見直しや材料開発が進められています。崩壊が進む地球の光は、温暖化や干ばつの拡大、海面上昇など、さまざまな形で、人間の影響で変化した生態系への反応を示しています。開口部には、光と光がもたらす根源的な疑問の数々が凝縮されています。

こうした背景を踏まえ、本プログラムでは、近年変化しつつある光スペクトルの構成材料と建築との多様な関係を追求し、理解することを目的に、以下の項目に関連する研究テーマを募集します。

・天然資源と建造環境との関係
・脱成長を含む「持続可能性」の新しい理解
・暖房、冷房、光のコントロールを優先する地球温暖化への建築的対応
・自然光を利用した望遠鏡や工場の生産現場など、歴史的・地理的に特定の類型学
・解決が急がれる特定の環境破壊・環境汚染問題に対するランドスケーププロジェクト
・人新世における設計の未来志向の理解
・人間とその周辺の生態系との新しい関係
・人間以外の生物とその周辺の生態系との新しい関係
・「グリーンビルディング(環境対応ビル)」の物質的・政策的パラメータに関する疑問
・建築素材としての太陽放射
・地下空間の利用を優先する建造環境の社会的パターン

 

応募資格・申請方法
プログラムテーマ:Above/Below/Between: Light on a Damaged Planet
応募資格:博士号取得者または同等以上の研究経歴または実務業績を有する者
提出書類:研究提案書(プログラムテーマとカナダ建築センターの所蔵コレクションの内容を踏まえて約1,000 wordsで作成)、詳しい研究スケジュール(1〜3ヶ月の日程で約500 wordsで作成)、履歴書と簡潔な経歴、出版サンプル(執筆を担当した記事または書籍の一編など)または同等の資料、推薦者候補3名の氏名など
応募締め切り:2021年12月6日(月)午前12時EDT
派遣時期:2022年7〜10月(約1ヶ月から3ヶ月の間)
支給内容:滞在費(月5,000CAD程度)、渡航費など

カナダ建築センターポータルサイトにて申請を受け付けます。応募書類・申請方法の詳細は同センターウェブサイト「CCA-WRI Research Fellowship Program」(英/仏)にてご確認ください。

*申請書類は英・仏いずれかの言語で作成してください。和文の書類は受け付けていません。
*プログラムや申請方法に関する質問はカナダ建築センター(studium@cca.qc.ca)へお問い合わせください。当財団では回答いたしかねますので、ご了承ください。
*予告なしに公募およびプログラムの内容に変更が生じることがございます。最新の情報は、カナダ建築センターのホームページをご覧ください。

 

プログラムの設立背景
1979年の設立以来、カナダ建築センターは、研究機関として新たな知識を構築するだけでなく、構築した知識を有効に活用することを目指し、展示事業、出版事業、パブリックイベント、研究プログラム等の実施を通じて、建築分野における幅広い研究機会を創出してきました。さらには、建築的視点の他分野への適用を試みるとともに、建築分野への学際的なアプローチを推進するほか、建築領域にキュレーションや出版、学術研究から生まれる文化と視点を融合することで、独自の研究活動を実践しています。

窓研究所は、過去10年以上にわたり窓をテーマにさまざまな学術的・文化的プログラムを展開してきました。採光、通風、換気、眺望、防犯、省エネなど多くの役割を担う窓は、多様な技術の結節点であるとともに、建築を特徴づける基本要素のひとつでもあります。さらには内外部環境の接点として、建築のみならず、その周囲における気候風土や人々の生活習慣とも密接な関わりを持っています。このように、窓研究所では窓を社会、文化、技術の様相を反映するものとして捉え、多面的に読み解くことで、建築と建築文化への理解を一層深めることを目指し活動しています。

本プログラムは、カナダ建築センターの包括的な知見と窓研究所のユニークな研究テーマを掛け合わせ、機関横断的に現代社会の諸問題に取り組むことを目的に設立されました。

 

カナダ建築センターの所蔵コレクション
カナダ建築センターは設立以来、アーネスト・コーミア ・アーカイブなど、建築アーカイブの収集に力を入れてきました。その方針は2000年代初期により強化され、ゴードン・マッタ゠クラーク、セドリック・プライス、アルドロッシ、ジェームズ・スターリングのアーカイブをコレクションに加えました。その後も、アルヴァロ・シザ、アバロス・エレロス、FOA、ケネス・フランプトンといった現代建築家や建築史家の、歴史的に非常に重要なアーカイブを所蔵しています。また「デジタル考古学」の研究プログラムに関するコレクションなど、デジタル建築の作品も収集・所蔵しています。詳細はカナダ建築センターウェブサイト「Guide to archival holdings」をご覧ください。

 

 

カナダ建築センターCanadian Centre for Architecture
カナダ建築センターは、建築は広く社会の関心事であるという認識を前提にグローバルに活動する研究機関です。建築が現代の生活をどのように形づくり、つくり変えていくのかという好奇心を原動力に、展覧会、出版、学術研究、アーカイブ収集、パブリックプログラムなど、多様な事業を展開しています。機関内に留まらず、外部研究者や一般の方々を巻き込みながら、建築的視野をもって現代社会における学問的・文化的課題に取り組んでいます。
cca.qc.ca

公益財団法人 窓研究所|Window Research Institute
窓研究所は、窓を起点に研究事業・文化事業を展開する公益財団法人です。過去10年以上にわたり、窓という研究テーマにおける知見を通じ、従来とは異なる視点から建築を捉えることで、社会において建築が果たす役割を探求してきました。関連分野における研究調査の実施、助成、出版・展示・講演等による研究成果の公表を事業の柱に、建築のみならず、多分野で活躍する国内外の機関や個人と連携しながら、複眼的な議論の発展を目指し活動を推進しています。
madoken.jp

 

 

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本プログラムに関する問い合わせ
Canadian Centre for Architecture
studium@cca.qc.ca
※英語・仏語のみ受付

取材・掲載に関するお問い合わせ
Julia Albani
International Press and Public Relations
Canadian Centre for Architecture
+351 911 191 898
jalbani@cca.qc.ca
※英語のみ受付

公益財団法⼈ 窓研究所
企画担当:笹子まりえ
info@wri.or.jp