窓コラム

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July 19, 2017

第13回 タシュクルガン「天窓の記憶」(後編)

翌朝、予定通りダンディの家に行くと、彼と同い年くらいのもう一人の男が合流した。タバコを一本吸い終え、3人で家を出る。

到着したのはダンディの家と同じような石造りで黄土色の泥を塗った家であった。そこには様々に着飾った老若男女がおり、なにやら祭りでもはじまりそうな雰囲気であった。

  • 右が訪れた家の外観。左はコンクリート造の家だが、色や文様は共通している
June 28, 2017

第12回 タシュクルガン「天窓の記憶」(中編)

フロントガラスにひびのあるダンディの車に7分ほど乗って着いたのは、先ほどまでの菜の花畑の広がる集落とは全くちがう湿地帯であった。なめらかでモコモコとした草原のなかを川が流れている。

一部は景勝地として観光客に開かれているようで、その日は観光客らしい人影を見なかったが、さながら日本の「尾瀬ハイキングコース」で見かけるような通路や休憩スペースなどがつくられていた。ダンディの背中について、湿地帯の奥の方へ歩いてゆく。

  • モコモコとした湿地帯をゆく
April 19, 2017

第10回 トルファン「海より低い砂漠」(後編)

ぶどう干し小屋から教えられたトルファンにおける建築のつくりかたのエッセンスは、レンガとポプラと少しの枝葉で影をつくり、風を通すことだった。

トルファンでは、7軒のウイグル人の家を訪問した。以下がそのうち6軒と、前回のぶどう干し小屋群の位置をプロットした図である。格子状の広い道が広がる中心部には漢民族が多いらしく、その周りの緑が多いところにウイグル集落は位置している。

  • 訪問した家のプロット(Google Earthの航空写真に筆者プロット)
March 22, 2017

第9回 トルファン「海より低い砂漠」(中編)

集落の外れの丘に発見したぶどう干し小屋群は、実はトルファンに到着した日の早朝、10時間ほどの電車移動に疲れたままバスで宿の近くに向かう時に見たものだった。朝日に照らされた丘の上に、同じ方向を向いて立つ穴ぼこだらけの建物群は、寝ぼけまなこの僕を引きつけた。

ウイグル集落を抜けて、小屋群の待つはげた丘に向かう。斜面の上に整然と並ぶそれらの多くが、日干しレンガでできている。足元に広がる丘と同じ色だ。水と太陽によって、丘が小屋に変形したのである。一部、焼成レンガを使うものもあり、基礎だけを残している跡も見つかった。

  • ぶどう干し小屋群。水と太陽による、丘の変形
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January 26, 2017

第7回 張村「地下の都合」(後編)

100歳の古老のヤオトンを訪問して、なんだか奇妙な部分のあることに気がついた。ヤオトンの部屋の入り口は、通常は先の少し尖ったアーチ型をしている。しかし、よく見ると、穴の隅のほうでは綺麗なアーチが成り立っていない。

  • 100歳の古老のヤオトン。隅のほうで、アーチの半分が埋もれている
January 5, 2017

第6回 張村「地下の都合」(中編)

やはり、村を見るにはまず老人に出会うことだ。これまでの旅で培ってきた自分流の方法論を組み立てながら、木々の緑が美しく映える黄土色の大地の中を歩いた。そして、頭にハンカチを乗せて木かげで休む婆さんに出会った。

この人はヤオトンに住んでいるのだろうか。とりあえず、スケッチを見せて興味を伝える。もちろん、言葉は少しだけしか伝わらない。

何分か経って、どうにかこちらの意図は伝わったようである。すぐそこに婆さんが今も暮らしているヤオトンがあった。地下へは、中庭の四角い穴とは別の、少し離れた場所につくられた小さな穴から入るようになっていた。膝が悪い婆さんは、杖をつきながらゆっくりと僕を案内してくれた。

  • ヤオトンへのアプローチ
November 8, 2016

第4回 烏鎮・「景区」外の家 (後編)

「あなたの家」「あなたの家」と繰り返しながら、景区外の町を爺さんと40分ほど歩いたと思う。その間に何やら新しい大きな建物の建設現場を見たり、舗装されていない細い道を歩いたりと、観光地とは違った生活のシーンをたくさん見た。ついに爺さんの家らしい場所にたどり着いた(あとで気付いたことだが、僕は「あなたの家」という単語さえ間違えていた)。
その家は平屋で、レンガを積んだ壁を白く塗った閉鎖的な家であった。屋根の瓦は景区で見た古い建物と似たようなもので、よく見るとレンガの積み方も似ている。景区外といってもそこに共通点はあるように思えた。ここも一気に建てられたのだろう、周辺にも同じような家が並んでいる。

  • 案内された爺さんの家の正面
September 21, 2016

第2回 上海・窓から生える鉄の棒 (後編)

見るものが決まると、足取りは一気に軽くなる。鉄の棒を探す旅のはじまりである。といっても、10歩も歩けばすぐに見つかる。さっそく、当然のように無数の鉄の棒が生えている集合住宅を発見した。鉄の棒の下には何台か車が停まっているが、落ちてきたりしないのだろうか、少し不安になる。

  • 無数の鉄の棒の下には、車が停まっていた
March 18, 2015

窓の彩りを考える

テキスタイルコーディネーター/デザイナーの安東陽子さんは、ベテランから若手まで多くの建築家が手がけた作品において、窓まわりのテキスタイル演出を担当。窓に彩りを加えると、空間がより表情豊かになります。安東さんのこれまでの作品の一部を振り返り、窓の彩りについて考えてみましょう──

  • 「SUS福島工場社員寮」2005年 (株式会社布 在職中作品)
    設計:伊東豊雄建築設計事務所、 写真:阿野太一
March 9, 2015

庭園美術館の窓

Sumally (サマリー) 』とは、“Want(欲しい)”、“Have(持っている)”の2つでモノを分類していく「この世界に存在するすべてのモノの"百科事典"」をコンセプトに誕生した、ソーシャルネットワーキングサービスだ。そのSumallyの立ち上げ人でCEOの山本憲資氏は、ファッションカルチャー誌で編集者として活躍した経歴を持つ。現在でもトレンドカルチャーを体感することは欠かさない山本氏が、2014年11月にリニューアルオープンした東京都庭園美術館に足を運んだ。アール・デコ様式の建築が生み出す、窓と光の関係についての考察──

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December 11, 2014

衣食住の窓

マガジンハウスのクオリティライフ誌『& Premium』エグゼクティブディレクターで、編集者の柴田隆寛氏。著書『TOOLS』、『リサ・ラーソン作品集』や、ウェブマガジン『LIFECYCLING』『ONE DAY -犬と僕たちの生活』のディレクションなど、これまでに数々のライフスタイルの提案をおこなってきた柴田氏が感じた、「衣食住の窓」とは──

November 25, 2014

猫とファッションと窓

猫とクリエイターをテーマにしたウェブマガジン『ilove.cat』を主宰、また、東京スタイルを提案し、いまやファッション業界を代表する媒体のひとつとなったウェブマガジン『honeyee.com』、『.fatale』などでフリーランス編集者としても活躍する、服部円さん。愛猫のスカイ、そして自身も現地に取材へと出向いた2015S/Sパリコレクションを通した、猫とファッションの“窓”の風景について──