パリ窓コラム

WINDOW COLUMN FROM PARIS
June 13, 2016

第3回 華やいだ通りの情景

パリの街を散歩するのは楽しい。異なる時代に異なる理由で生まれた道が交錯し、通りを行けば幅の違う道に様々な時代の建物やカフェやショップを発見することができる。通りにはショーウィンドウが連続していて季節によって様々な華やかさ賑やかさ楽しさがある。通りから一歩人通りの少ない路地へ入り込むと、陽の光は弱まって通りにあった喧騒は遠く離れていく。通り抜けに使ったパサージュは美しく、またそこも季節によって彩られている。中心部を少し離れると、変化に富んだ道が現れ始める。かつてパリの外側の村だった時代の名残である。坂を登り切った場所から今来たパリの街を一望することができる。

  • Passage Jouffroy のショーウィンドウ
December 21, 2015

第2回 恐怖と歓楽、そして劇場として

パリの街は20の行政区に分けられている。1区はルーブル美術館があるあたりの地区で地図上でもパリのほぼ真ん中に位置する。その地区から外に広がるように時計周りに螺旋を描いて番号がつけられ、最後の20の番号はパリの東部に位置する。その最後の20区内、ベルヴィル地区にある大学で私はパリでの建築活動を始めた。モンマルトルに次ぐ小高い丘の上にあるこの地区は、現在移民街となっている。学生が集う安く飲めるバーの他に多くの中国系や北アフリカ系の人々が営む店舗があり、あるいは東欧系の人々が多く生活していて、昼夜パリの中心部とはまた違う賑わいとにおいを感じることができる。ベルヴィル通りの坂を登っていけばパリの街を見晴らせるベルヴィル公園がある。ここの公園からのパリの眺めが美しいことから、「美しい街」という意味のベルヴィル(Belleville)がこの地区の名前になったと言われている。

  • パリの行政区
September 17, 2015

第1回 フランス窓 ─パリの呼吸と眼─

私がパリで生活を始めて6年が経った。自身の日々の生活が常に変化する中で、パリの街並みは変わることなくそこにあり続ける。通りやセーヌ川の向こう岸に見える小さな窓が並ぶ壁の風景は、私がここにくるずっと前から変わることなく、また室内から窓越しに見える通りの往来は非日常のような賑わいを感じさせるが、それはパリの営みの中で何度も繰り返されている。

窓はパリという都市の歴史や文化の中で、建物の一要素でありながら決して小さくはない役割を持ち、一つの象徴として存在してきたことに疑いはない。一方でパリの生活の中で窓の周りで起きていることのほとんどは、日常的なことであるかあるいは日常の中のほんの些細な変化にすぎないのも事実である。

パリの窓とは? 今現在その本質を率直に答える準備がない。その答えが本当にあるかもわからない。ひとまず、立ち止まってしまいそうなこの問いを前に進めるべく、様々な「パリの窓」の断面を一つずつ切り開いていこうと思う。パリの窓の浮上を期待し、それへの接近を目指して。